投稿日:2023.10.25
大阪で「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザーとして活動している浅野と申します (プロフィール) 。現在は独立系の不動産コンサルティング会社を経営しています。 30年以上にわたり、一貫して不動産オーナーの土地の有効活用や賃貸マンション・アパートの入居率改善のお手伝いを行っています。中でも「事業総額80億以上、累計1万室の募集実績」をベースに体系化した「賃貸マンション・アパートの入居率を高める販促プログラム」の提供が得意です。「A4」1枚アンケートやマンダラ広告作成法を使っての「マイソク(募集チラシ)」作成や改善も定評があります。空室に困っているオーナー、入居率を高め戸数拡大を図りたい管理会社を応援していきます。
今回は、よく相談がある賃貸マンションやアパートの空室対策(空室を埋めるためのマーケティング)の基礎について、改めてまとめてみたいと思います。様々な手法があるのですが、やはり、その原点であり基本となるのは「募集チラシ(マイソク)」だといえます。
1.「募集チラシ(マイソク)」とは?どのタイミングで活用されるのか?
このBlogを読んでいただいている皆さまも、転勤や通学などの理由で賃貸マンションやアパートの「お部屋探し」を経験された方も多いのではないかと思います。現在はネット中心で、ほとんどがポータルサイトである「SUUMO」や「HOME'S」などを通じて、お部屋を探して気に入った部屋があれば問い合わせるという行動になります。となると、「募集チラシ(マイソク)」を作ってもあまり効果が無いのでは?とお考えになるかもしれません。
ですが、ポータルサイト中心の集客において、「募集チラシ(マイソク)」が変わらず重要である理由は2点あります。
1)ポータルサイトに掲載しても、新築や築浅でグレードの高い見栄えのする物件が優先される
・検索しても、どうしてもお客様の目を引きやすいスペックの高い物件が上位に並ぶ
・テンプレートでの情報掲載なので、どれも同じ。どうしてもスペック(家賃、築年、駅徒歩分数、設備、デザイン等)のみの比較になってしまう。
・結果、スペックだけには現れない、それぞれの賃貸マンションやアパートの「強み(選ばれる理由)」を訴求できない
⇒よって、ポータルサイト依存ではなく、自分でコントロールできる媒体(つまり、チラシ)を工夫する必要が残ります。
2)お客様が部屋を探すプロセスで、「募集チラシ(マイソク)」は重要な役割を担う
・お客様の最初の行動は、ポータルサイトを検索するということは今も、これからも変わらないと言えます。ただ、そこで見つけた気になるお部屋については、「必ず」そのお部屋の情報を掲載している「不動産仲介会社」へ、問合せをする必要があります(ごく一部の場合を除き)。
・そして、問合せがあった場合、不動産仲介会社は、「問合せのあったお部屋」だけでなく、ニーズにあったお部屋の資料を、最低でも数件、多ければ30件もメールやLINEで紹介します。※上記の赤で囲った部分
・この段階では、問合せを受けるのは1社ではなく、複数の仲介会社が競合している状態です。よって、①なるべくお客様の気を引くように(送る物件数で熱心さをアピール)、②そして自社が紹介せずに他社が紹介する機会損失を減らすため、そのエリアで該当する物件をなるべく多く送るということになります。
・その情報を受け取るお客様は、ポータルサイトで見つけたとしても、結局、PDFで送られてくる「募集チラシ(マイソク)」を見て、比較検討し、実際に見てみたい部屋を絞り込むということになります。
注)ちなみに、ポータルサイトに上位に表示されていなかったとしても、仲介会社の営業マンが候補物件として認知してくれていて、紹介してくれれば、お客様の目に触れることになります。仲介会社の営業マンの認知を上げること、案内したいとの評価を獲得することは重要です。
少し、想像していただきたいのですが、今はほとんどの場合、スマホの狭い画面で20~30件の「募集チラシ(マイソク)」を見なければいけないのは、かなり大変です。一つ一つを詳しく見るというより、ざっとスクロールしていきながら、気になったお部屋をチェックし、絞り込んでいくということにならざるを得ません。
この段階での「募集チラシ(マイソク)」の役割は、「実際に現地を見てみたくなる」ように思ってもらうことです。その前提で、具体的な事例を見てみます。
2.実際の「募集チラシ(マイソク)」のBeforeAfter事例
では、実際に私が関わった事例を紹介します。背景としては、お部屋の間取りにやや特徴があり(部屋が整形ではなく使いづらく見える、真ん中にあるバルコニーで部屋が分かれている等)、何も表現されていない間取り図を見ただけでは、住むイメージが湧きにくいという課題がありました。
<Before>
<After>
弱みとみられていた特徴や元々あった強みに光を当て、
①バルコニーが多い⇒バルコニーをむしろ楽しんで使ってみては?という提案(ベランピング)
②部屋が分かれている⇒独立した間取りこそ、リモートワーク等で寝室とワークスペースやリビングを分けて使うことができる
③(これは元々強みですが)ターミナル駅から近い⇒ドアトゥドアで具体的に◯◯分というようにアクセスの良さを強調
とアピールポイントを明確にしました。そして、ほとんどが横型チラシである不動産の「募集チラシ(マイソク)」において、斬新な縦型チラシのレイアウトにしています(これは、上記のようにほとんどがスマホで見られると言うことも想定して縦スクロールで見やすいことを意識)。なお、間取り図も、収納の多さなどをしっかりと伝えられるように改善しています。
結果、今まで価値が伝わりにくかったこの間取りの部屋が、すぐに申し込みが入るようになりました。なお、現地は特にリノベーション等の手を加えていません。あくまで、販促の工夫を行っただけです。
3.弱みを強みに転換するためには?
1)徹底した観察をする
最終的に何をどうアピールするかの前に、まず、事実となる特徴をできるだけ多くリストアップしていくことが必要となります。その際、私がよく行う事前準備は、全体を漠然とみるのではなく、間取り図をパーツ毎に色分けしながら、お客様が部屋を内見する順番で、一つ一つメモを書き込んでいく方法です。もちろん、その上で実際に現地を見ながら書き足します。下記は他の部屋での事例ですが、参考として紹介します。
「型」は有効ですが、それを継続していくためには、「仕組み」も不可欠となります。この仕組み化については、岡本先生の最新刊「お客様目線のつくりかた」に詳しく説明されています。
2)マンダラ広告作成法シートと照らし合わせて強みへ転換していく
事実を出せたら、それを見ながらマンダラ広告作成法シートに書き込みます。このプロセスで、弱みとみられていたことが、強みとして転換できるようになります。また、それを強みとして評価してくれるのはどのような悩みやニーズを持った人(ターゲット)かということも同時に考える事ができます。
(参考:「マンダラ広告作成法シートを1枚書けば、8つのパーツを自由自在に使い回せます。」)
3)「自物件にしかなく」「他には真似できない」「お客様が望んでいる」ポジショニングを意識
仕上げとして、その「強み(選ばれる理由)」と考えている仮説が、本当に他にはなく選んでもらえる理由になっているかをチェックします。その際、「バリュープロポジション」という考え方は役に立ちます。例えば、宅配BOXが強みだと考えていても、他のマンションのほとんどが設置されている状況であれば、選ばれる理由にはなりません(逆にないと負ける要因になる)。
今回は、空室対策において、基本であり、最重要となる「募集チラシ(マイソク)」の改善、その考えるプロセスについて整理してみました。最近は、オンライン(Zoom)でこのような相談を受けることも増えてきています。現地を見る必要がある場合は、全国各地にいる「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザーの協力も得ながら、対応することも可能です。
今の「募集チラシ(マイソク)」はあなたの物件の強みを十分に伝えられている内容でしょうか?
読んでいただき、有り難うございました。
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