投稿日:2023.12.25
大阪で「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザーとして活動している浅野と申します (プロフィール) 。現在は独立系の不動産コンサルティング会社を経営しています。 30年以上にわたり、一貫して不動産オーナーの土地の有効活用や賃貸マンション・アパートの入居率改善のお手伝いを行っています。中でも「事業総額80億以上、累計1万室の募集実績」をベースに体系化した「賃貸マンション・アパートの入居率を高める販促プログラム」の提供が得意です。「A4」1枚アンケートやマンダラ広告作成法を使っての「マイソク(募集チラシ)」作成や改善も定評があります。空室に困っているオーナー、入居率を高め戸数拡大を図りたい管理会社を応援していきます。
10月にご紹介した記事『【賃貸マンションの空室対策】基本となるのは「募集チラシ(マイソク)」の訴求力』では、賃貸募集における「募集チラシ(マイソク)」の重要性をお伝えしました。今回は、その第2弾として、「マーケティング・フロー」の全体像から見てみたいと思います。
1.賃貸募集の「マーケティング・フロー」とは?
過去に何度か、募集マーケティング・フローについて書いてきました。改めて、現時点における最新のフローチャートで説明します。
1)基本となる「マーケティング・フロー」
・現在、多くの人はお部屋を探すことになった場合、ネットで検索することになります。「地名(エリア名)+賃貸+間取りや希望条件」などのビッグワードで検索することが多いかと思います。その場合、SEO上位は大手ポータルサイトにほぼ独占されます(掲載している物件数や広告費が桁違いに多いため)。
・「GBP(Googleビジネスプロフィール)」に物件を登録している場合は表示され、そこに専用LP(HP)への導線を用意していればLPまでの導線を作ることはできます。この物件専用LPは、ポータルサイトで見つけてもらった後に「固有名詞検索(マンション名で検索)」された場合の情報提供ツールとして有用です。※今回は割愛しますが、このLPによる情報発信は今後重要になると思います。
・そして、主流であるポータルサイトで検索され、候補に選ばれ、不動産会社に問い合わせがあるというフローにおいては、重要な顧客接点は3つあります。
❶ポータルサイトでの掲載情報(文章、写真、動画)を見る
❷募集チラシ(マイソク)を見る
❸内見して物件現地を見る
・つまり、この3つの顧客との接点で、「選ばれるかどうか?」が重要となります。
2)マーケティング・フローは、ファネル(ジョウゴ)の形をしている
・なお、「マーケティング・フロー」は、「ファネル(ジョウゴ)」の形状をしているとイメージした方が実態に近いといえます。※上記は基本となる「AIDMAモデル」を元に作成
・このファネルを見れば課題は、「母数(アプローチできる顧客・市場)を拡げること」「各ステップにおいて次の段階へ進む人を増やすこと(推移率を高くする=離脱を減らす)」の2つであるとわかります。※この記事では「母数拡大(認知拡大)」については触れませんので別の機会とさせていただきます。
・なぜ、離脱してしまうかと言えば、「競合よりも魅力がない(ように見える)」「価格が高い(=価格に見合った価値が伝わってない)」「不安や信用できないなどの心理的障壁を越えられていない」などの理由が考えられます。
2.マーケティング・フローの改善対策1:ボトルネックを特定し、最優先で改善すること
では、次に、マーケティング・フローの改善の具体策について考えてみます。課題は「各段階での推移率を高めることによって、最終的な成約数を増やす」ことです。
1)ボトルネックとは何か?
・ボトルネックとは、マーケティングフローにおける顧客接点を点数化した際に、もっとも低くかつ見込客が離脱してしまっているポイントを指します。つまり、競合に負けてしまっているポイントとも言えます。今回は、下記の3つにおいて考えます。
❶ポータルサイトでの掲載情報(文章、写真、動画)を見る
❷募集チラシ(マイソク)を見る
❸内見して物件現地を見る
・この3つのポイントを1点~5点の5段階評価で点数をつけてみます。※この点数評価の基準は、業界や商品に合わせて適宜設定してみてください。厳密にするよりも直感的で良いかと思います。
2)ボトルネックの改善効果
・仮に、以下の表のように採点される物件があったとします。この場合のボトルネックは、チラシの段階となります。総合評価は、各段階での評価のかけ算で示されます。よって、この点数の低いボトルネックで見込客が離脱が多くなれば、最終的な成約数も落ちることになります。
・次に、そのボトルネックを改善して、1点を2点に上げる努力をします。表にすると以下になります。ポイントは、点数の低いボトルネックを改善すると、その時点での離脱者が減るため、全体の成果も2倍になるということです(計算上の仮説となります)。
・ちなみに、最も低いボトルネック(チラシ)を放置したまま、他の改善を行うとします。例えば、家具を置いてのモデルルームを設置するなどによってより訴求力を高め、点数を上げるとします。ですが、もともと物件の評価は高かったので倍にすることは難しく、1点アップとして考えます。となると、全体成果は1.3倍と、さきほどよりも低くなります。つまり、ボトルネックの改善の方が、よりコスパが高く優先順位が高いといえます。
・なお、このチラシが最もボトルネックになっているというのは、多くのケースで当てはまります。というのは、ポータルサイト掲載においてはフォーマットが固定され、よほどひどい写真や間取り図で無い限り競合間で大差はつきません(標準以上にはなっている)。
・そして、現地もリフォームがきちんと完了していれば大きなマイナス評価を受けるようなことも少ないといえます。結果、フォーマットの自由度も高く、改善するのに手間のかかり、物件の魅力を伝えるためのマーケティングノウハウも必要な「物件チラシ(マイソク)」がピンキリとなるため、ボトルネックになっていることが多いと言えます。
3)さらにチラシの改善は、他に波及する効果もある
・なお、過去の経験則から言えば、チラシを改善する効果はそれだけにとどまりません。チラシをよりビジュアルにし、アピールポイントも増やし、何が決め手かを考えていくと、結果、ほぼ必ずといっていいほど、現地販促やポータルサイトにおける写真や文章の改善まで行うことになります。
・これは、チラシの表現レベルを上げると、他のマイナス面に気づきやすくなるからです(間取り図がしょぼい、写真がイマイチ、現地でもっとアピールしたい等)。よって、他も少しづつ点数が上がる波及効果が出てきます。それを、表で確認してみます。結果として、当初の3.3倍にもなります。
3.改善対策2:チラシにおける「推移率」も存在する=最後まで読んでもらい、行動してもらえるかどうか?
1)なぜ、縦型チラシのレイアウトを選ぶのか?
・物件チラシを縦型にするというのは、前回記事『【賃貸マンションの空室対策】基本となるのは「募集チラシ(マイソク)」の訴求力』でもお伝えしました。ただ、これは他社が横型だから目立たせるために、縦型にしているという単純な差別化が目的ではありません。
・売れるチラシには、何をどの順番で伝えるかのセオリーがあります。これは、「A4」1枚アンケートやマンダラ広告作成法を開発された岡本達彦先生のノウハウです。下記の例で言えば、横型チラシは情報掲載はできていますが、どの順番で読んでもらうかの視線のコントロールは難しいといえます。縦型チラシの場合、ほぼ多くの場合、上から下へと読んでいきます。よって、何をどの順番で伝えると「離脱されにくく(興味を持って)、最後まで読んでもらえるか」をコントロールできます。
2)チラシにおけるマーケティング・ファネルの構造
・では、チラシを上から順にしたまで読んでもらうということを、お客様の心理に沿って図にすると下記のようになります。チラシは紙1枚ですが、上から順に下まで興味を持って読んでもらい、離脱されないためには、そのための構造(レイアウト)が存在します。※「アンチ・クライマックスレイアウト」は岡本先生が開発された方法です。
・このように、「マーケティングフロー」全体での推移率という考え方は、ミクロで見れば、チラシ一枚にも存在します。それを、チラシとファネルを重ね合わせてみますと次のようなイメージです。いかに、最も下段の問合せまで読んでもらい、実際に行動してもらえるかが重要となります。
・そのように考えると、チラシの改善は、元1点が2点へと上がる程度のものではなく、一気に2~3点あげることは難しくありません。さらに、横展開しての波及効果も期待されます。
3.まとめ
最後に今回記事をまとめます。「マーケティング・フロー」という視点から見た場合、次の2点を意識してみてください。なお、今回は不動産の事例でお伝えしましたが、他業界・他サービスも同じです。今の商品やサービスにおけるボトルネックは何か、どうすれば改善できるかをぜひ、考えてみてください。
❶フロー全体における「ボトルネック」改善を最優先に行う
❷チラシやWebも「マーケティング・フロー」の考え方を活かす
今回は、チラシの重要性について、別の観点から書いてみました。最近は、オンライン(Zoom)でこのような相談を受けることも増えてきています。現地を見る必要がある場合は、全国各地にいる「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザーの協力も得ながら、対応することも可能です。
あなたの事業全体における「ボトルネック」はどこでしょうか?その改善に取り組んでいますか?
読んでいただき、有り難うございました。
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