投稿日:2026.07.12

京都の「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザー小宮康義です。専門性が高く、説明しないと価値が伝わりにくい商品・サービスを持つ企業や専門家のために、実践的な販促・コンテンツ企画を支援しています。中でも、お客様の声をもとに、売り込まずに価値が伝わる見込客教育・セールスプロセスを設計することが得意です。教育機関・スクール・士業・専門家に加え、事業会社の営業導線づくりも実務教育23年の経験を活かしてお手伝いします。
私はこれまで23年間、教育業界でマーケティングや募集活動、人材育成に携わってきました。その中で、教育機関やスクールが生徒を募集する仕組みづくりや、新規事業として教育コンテンツを立ち上げる仕事、さらには就職・転職支援や自社採用など、本当にたくさんの現場を経験してきました。
そして今、その経験を活かしながら、スクールや士業、専門家だけでなく、一般企業の販促やマーケティングのお手伝いをしています。
そんな中で最近よく思うことが、教育業界では当たり前だったことも、一般企業ではまだほとんど実践されていないんだなと言うことです。
もし、その考え方を一般企業にも応用できたら、集客も販売も採用も、もっと良くなるのではないかという仮説を立てています。
今回は、そんな「教育業界では当たり前だったこと」を、一般企業のマーケティングや販促という視点でお話ししていきたいと思います。
会社の中で一番人気がなかった部署
昔、教育会社で働いていたころのことです。新入社員や若手社員に、「将来、どの部署で仕事をしたいですか?」というアンケートを取ったことがありました。
結果は、ある意味予想どおりでした。
一番人気は、教材制作や講義を企画する「教務」。二番人気は「人事や労務」。
そして、ダントツの最下位だったのが……私がいた営業部門だったのです(笑)。
教育という仕事に魅力を感じて入社してくる人が多い業界ですから、「学生の成長を支えたい」「他のどこにもない講義を企画したい」「最高の教材を作りたい」と考える人が多いのは当然と言えば当然です。
教育業界に来てわざわざ「営業をやりたい」という人は少ないでしょうね。でも毎日毎日、大学本体や企業などへの法人折衝業務、大学生協などとの関係を構築して直接生徒を募集する個人営業、WEBやリアルの広告を企画し活用したマーケティング活動などに駆けずり回ってきた私からすると、かなり残念な結果でもありました。
新しいスクールを立ち上げて、絞り込んだターゲットではありますが「あっ、知ってる!」という状態に持っていく過程がとても楽しくやりがいがあったのですが、そんな風に感じてくれる人は極端に少なかったということです。
ところが同時にある矛盾も感じていました。営業を敬遠する人が多いのに、教育業界ってかなり営業(募集活動)に力を入れている業界でもあるのです。
学校も「募集活動(営業)」がなければ成り立たない
考えてみれば当たり前のことです。大学も専門学校も、語学スクールも資格スクールも、常に生徒を募集しなければ経営は成り立ちません。
少子化が進む今では、その傾向はますます強くなっています。地方の大学では定員割れが続き、女子大が共学になったり、募集停止になるニュースも珍しくありません。
企業が運営するスクールや講座ビジネスだって同じです。どれほど素晴らしい教育内容であっても、人が集まらなければ事業は続きません。
つまり教育業界は、「営業は苦手」と言いながらも、実はトップクラスに募集(営業)活動を研究している業界の一つだと思うのです。
教育業界はどうやって人を集めているのでしょうか
では、どんな方法で学生を募集しているでしょうか。
もちろん、先ほど挙げた日々の地道な営業活動はもちろん、WEB広告等を活用したデジタルマーケティング、今ならググるよりもAIに聞く人が増えたこともあり、AIO(AI検索最適化)やLLMO(大規模言語モデル最適化)などでリードを獲得して、その後の営業活動で顧客化(生徒化)していくのが主流です。
そうした顧客化(生徒化)していく流れの中で用いるのは、資料請求、学校(スクール)説明会、オープンキャンパス、体験授業、個別相談、在校生との交流会、卒業生のインタビュー。。などなど実にたくさんあります。
ただこれらは一見すると、よくある単なる募集活動(営業)のように見えますが、本質は少し違います。そのほとんどが「教える活動」なのです。
学校説明会では、学校の理念や教育方針を伝えます。体験授業では、「この学校ではこんな学び方をします」ということを体験してもらいます。オープンキャンパスでは、キャンパスライフだけでなく、「ここで学ぶ意味」まで伝えようとします。
つまり教育業界では、「売る前に教える」ということが、ごく当たり前に行われているのです。
「売る」のではなく、「理解してもらう」
教育業界では、「とにかく入学してもらえればいい」という考え方は、あまり歓迎されません。もちろん、募集目標はあります。かなりきついノルマがあるスクールも珍しくありません。
でも、それ以上に大切にしなければならないのは、「この学校・スクールは本当に自分に合っているか」を、本人にきちんと理解してもらうことです。
どんな教育方針なのか。どんな先生がいるのか。どんな学生生活になるのか。どんな人が向いているのか。逆に、どんな人には向いていないのか。
そうしたことまで含めて伝えたうえで、「それでもこの学校に入りたい」と思ってもらうことを目指しています。
なぜなら、入学はゴールではなく、そこから何年にもわたるお付き合いが始まる場合が多いからです。勢いだけで入学してもらっても、その後に「思っていた学校と違った」となれば、お互いに幸せではありません。
だから教育業界では、ただ買ってもらう(入学してもらう)よりも「理解してもらうこと」を重視するべきだと思うのです。
一般企業も、本当は同じではないでしょうか
ここまで読んでいただいて、「それは教育業界だからでしょう?」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも私は、教育業界を離れ、一般企業のマーケティングや販促をお手伝いするようになってから、逆にこう思うようになりました。
一般企業こそ、この考え方が必要なのではないか。そう感じる場面が本当に増えたのです。
例えば、ホームページから問い合わせが入り、商談をして見積書を提出したものの、「他社の方が安かったので」と断られてしまう。
あるいは、技術力には自信があるのに価格競争に巻き込まれてしまう。
さらに、「説明すれば分かってもらえるのに」と感じながらも、その説明をする前に比較されてしまう。
こうした悩みを抱えている会社は決して少なくありません。これって、本当に価格だけが理由なのでしょうか?
もしかすると、お客様は価格を比較しているのではなく、「価値がよく分からないから価格でしか判断できない」という状態になっているだけなのではないでしょうか。
教育業界では、それを防ぐために「教える」というプロセスを必ず入れています。
ところが一般企業では、その部分が抜け落ちたまま、いきなり商談や見積もりになってしまうケースが少なくありません。
だから私は最近、お客様との会話の中で「マーケティングを教育化する」という言葉をよく使うようになりました。もともとマーケティングには、お客様を教育するという要素が多分に含まれているのですが、あえて使うことにしています。
売ることを目的にするのではなく、お客様が正しく判断できるようになるまで理解を深めてもらう。その結果として、「この会社にお願いしたい」と思っていただく。
教育業界では当たり前だったこの流れを、一般企業にも応用できるのではないかと考えているのです。
「何を教えるか」が一番難しい
ただ、ここで一つ問題があります。「では、お客様に何を教えればいいのでしょうか?」実は、多くの会社がここで止まってしまいます。
社長や社員の皆さんは、自社の商品やサービスについて大変詳しい知識をお持ちだと思います。
ただ、長年当たり前にやってきたことだからこそ、お客様がどこで悩み、どこが分からず、何を知れば安心できるのかが見えにくくなっています。
だからこそ、「御社の強みは何ですか?」と聞かれても、意外と答えられなかったりします。「当たり前」になっているため、自分たちでは気付きにくいのです。
まず「お客様の声」を聞くことから始めましょう
そこで出発点にしたいのが「A4」1枚アンケートです。「A4」1枚アンケートというと、「広告を作るためのアンケート」というイメージを持たれている方も多いかもしれません。
もちろん、それはその通りです。でも、私はもう一つ大きな価値があると考えています。
それは、「お客様に何を教えればよいのか」を知るためにアンケートを取るということです。
教育業界では生徒がどこでつまずくのかを知ってから授業を作ります。
一般企業でも、お客様が何で悩み、何を知りたくて、何が分かれば安心できるのかを知らなければ、「教える」ことはできません。
だからまず「A4」1枚アンケートから始めることをおすすめするのです。
こうした声を集めていくと、お客様が本当に知りたかったことが見えてきます。「これから購入を検討している人が、事前に理解しておいた方がいいこと」が見えてきます。
その内容をホームページで伝えればホームページの内容が変わります。小冊子にまとめれば、小冊子の価値が変わります。動画にすれば動画のテーマが決まります。セミナーを開けば、話すべき内容が決まります。
つまり、「A4」1枚アンケートは広告を作るためだけではなく、お客様を理解し、お客様に何を伝えるべきかを考えるための、とても優れた情報収集ツールでもあるのです。
教育業界で当たり前だったことを、一般企業へ
私は23年間、教育業界で営業活動(募集活動)につながるコンテンツ企画や営業体制の構築、マーケティングのプロセスづくりなどのお仕事をさせていただいています。
くり返しになりますが、一般企業のマーケティングにも携わるようになって初めて、「教育業界では当たり前だったことも、一般企業ではまだ十分に活用されていない」ということに気付かされることがあります。
「売る前に教える」「理解してから選んでもらう」「魅力だけではなく、正確な情報も伝える」そして、お客様自身が納得して判断できる状態をつくる。
そう、見込客に販売する前にも一生懸命「教える」のは、この判断するためのモノサシを持ってもらうためです。そうすると安易に価格で比較されることは少なくなるはずです。
これらは教育業界だからの話ではありません。これからの一般企業にこそ必要な考え方なのではないかと、私は感じています。
今回から、このシリーズでは「教育業界では当たり前だったこと」をテーマに、一般企業の販促やマーケティング、採用、人材育成などに応用できるヒントをお届けしていきたいと思います。
教育業界の『当たり前』が、皆さんの会社で意外なヒントになるかもしれない。ということを期待して書いていきたいと思います。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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