投稿日:2026.07.14

新潟で「A4」1枚アンケート広告作成アドバイザーとして活動している桑原と申します 。私は主に従業員30名以内・店舗経営者を対象に販促・営業の課題は見えているものの経費・スキル・時間の関係で対策が出来ていないというジレンマを抱えて方を対象に現地での営業、必要な施策・コンテ ンツの作成実行を代行し販促営業をサポートを提供しています。特に新規顧客開拓の課題や見込み客との関係強化・維持施策に課題を持たれている方はご相談ください。
"ストーリーを語れ"は聞いたことがあるはず。では"ナラティブ"は?
お客様を前に、商品の良さを一生懸命に伝える。知識も、熱意も、誰にも負けていない。
なのに、返ってくるのは「検討します」ばかり。
これだけ丁寧に説明しているのに、どうして相手は動いてくれないのか。もしその理由がはっきりしないまま、数字だけが伸び悩んでいるとしたら - 原因は「説明が足りないこと」ではないかもしれません。
むしろ、逆かもしれないなと。
当記事では、「語っているのに伝わらない」という、この厄介な逆説の正体をたどりながら、では何をすればお客様の心が動くのかを、明日の商談から使える形で考えていきます。
「ストーリーを語れ」と...。だから、あなたは語ってきた
「これからはモノではなく、ストーリーを売る時代だ」。
販促や営業に関わっていると、この言葉は何度も耳にしてきたはずです。商品のスペックではなく、その裏にある想いや物語を語れ、と。
これは、間違っていません。人は事実の羅列より、物語のほうを覚えていると。値段や機能はすぐ忘れても、「あの担当者が、こんな思いでこの商品を勧めてくれた」という話は、なぜか残る。だから「ストーリーを語れ」は、正しい。
そして、真面目な人ほど、この教えをきちんと受け止めます。お客様のために、商品のことを、その背景を、込めた想いを、しっかり語ろうとする。あなたが現場でたくさん語ってきたのは、いいかげんだからではありません。むしろ逆で、真面目だからです。
問題は、その正しい教えが、現場でどんな形になっているか、です。
教科書は、もう出ている -『ストーリーブランド戦略』
ストーリーの重要性を、きちんと体系立てて紹介している本があります。それがドナルド・ミラーの『ストーリーブランド戦略』。読んだことのある方も多いでしょう(※何故か私は3冊あります)。
この本のいちばん大事な主張を、ひとことで言うとこんな感じです。
「主人公は、あなたの会社ではない。お客様だ」
物語には主人公がいて、その主人公を導く案内役がいます。『スター・ウォーズ』でいえば、主人公はルーク、導くのはヨーダ。ミラーはこう言います。 お客様こそがルークであり、あなたはヨーダに徹しなさい、と。”売り手が主役として前に出るのではなく、お客様が主役になる物語を用意し、その脇でそっと導く存在になれ”というわけです。
これ!とっても良い教えですよね。当然当記事も、ミラーを否定するつもりは一切ありません。むしろ、ここが出発点です。
……ところがです。
正しい教えほど、言葉だけが独り歩きすることはないでしょうか?「ストーリーが大事」というフレーズだけが広まり、肝心の「主人公はお客様」という中身が抜け落ちたまま、現場ではしばしば真逆のことが起きています。
現場で起きていること
「物語」のつもりが、「自慢話」になっていないか
自分がふだんお客様に話していることを、そのまま録音して聞き返せたら...。そう想像してみてください。あるいは、自社のパンフレットやホームページでもかまいません。こんな言葉が、並んでいないでしょうか。
「創業以来◯◯年、私たちは品質にこだわり続けてきました」
「厳選された素材を、熟練の職人が手間ひまかけて仕上げています」
「業界初の◯◯機能を搭載。他社にはない性能です」
どれも立派です。嘘もない。けれど、よく見ると、この言葉の主語は、ずっと「自分」です。私たちがこだわった。私たちが仕上げた。私たちが実現した。
これは、物語ではありません。自慢話です。
正直に言うと、私自身がそうでした。営業に出ていた頃、良い商品だと信じていたから、お客様の前でひたすら語って語って語っていたなと。語れば伝わると疑っていなかったんですね。でも、語れば語るほど、相手の表情は動かなくなっていく。当時は、その理由がまるでわかりませんでした。
スペックの羅列は、物語ではない
もうひとつ、よくあるシーンがあります。スペックを並べ立てることです。
「このモデルは処理能力が◯◯で、従来比◯%向上。しかも消費電力は◯%カットで……」。商談の途中、つい口をついて出る、この手の説明。売り手のこだわりは、痛いほど伝わります。
でも、聞いているお客様の心は、実はあまり動きません。なぜなら、そこにお客様自身が出てこないからです。その性能で、目の前のこの人の何が、どう変わるのか。その一節が、まるごと抜けている。
「ストーリーを語れ」と言われて一生懸命語った結果が、自慢とスペックの羅列になる。これは、熱心な人ほど、真面目な人ほど、陥りやすい落とし穴です。
なぜ、こんなことが起きるのか
問題は「上手い・下手」ではなく、「ペンを誰が握っているか」です。
ここで多くの人は、対策を「語り方の上達」に求めます。もっと感動的に話そう、もっと心に響く言葉を選ぼう、と。
でも、本当の原因は、上手い・下手ではありません。もっと手前にあります。
台本を、売り手の側が握っているからです。
考えてみてください。商談で話す言葉も、パンフレットも、ホームページも、キャッチコピーも、用意しているのは全部こちら側です。売り手が頭の中で「お客様はこう感じるはずだ」と想像し、その想像にもとづいて台本を組み立てている。台本を書くペンを握っているのは、ずっと売り手なのです。
そして、ペンを売り手が握っているかぎり、どれだけ「お客様を主人公にしよう」と意識しても、出来上がるのは結局「売り手が書いた、お客様が主人公"らしき"台本」にしかなりません。お客様の悩みも、望んでいる変化も、決めているのはこちら。役を割り振っているのは、こちらなわけです。
ここが、本日のポイントです。
先ほどのミラーの「お客様をヒーローに、あなたはヨーダに」という教えでさえ、その脚本を書いているのは、やはり売り手です。見立てはできても、お客様が本当に何を思っているかは、こちらの想像の域を出ない。
だとすれば、打つ手はひとつしかありません。台本を書くペンを、お客様に渡してしまえばいいのではないか?。
ストーリーから、ナラティブへ
売り手が上手に「語ってあげる」のをやめて、お客様自身に「語ってもらう」。 この転換を表す言葉が、「ナラティブ」です。
最近マーケティングの世界で「ストーリー」に代わってよく聞くようになった言葉なのですが、ただの言い換えではなく主役の交代、いえ、ペンの持ち主の交代を意味しています。
そもそも「ナラティブ」とは何か
「ナラティブ(narrative)」という言葉は、もともと「語る」という意味のラテン語から来ています。さらにさかのぼると「知っている」という語と根っこが同じで、人は世界を「物語」の形で理解している、という含みを持っています。
ビジネスの文脈でこの言葉を使うとき、ポイントは主役です。
- ストーリーの主役は、企業やブランド。「わが社の物語」。
- ナラティブの主役は、生活者、つまりお客様。「お客様の人生の物語の中に、たまたま商品がある」という形。
ストーリーは、送り手(売り手)が完成させて、一方通行で発信するもの。 逆にナラティブは、受け手(お客様)が、自分の言葉で表現したものです。
ストーリーテリングとナラティブ、何が違う?
ここで、「ストーリーテリング」と「ナラティブ」について整理しておきましょう。実はこの2つ、似ているようで、決定的に違うのです。
違いは「上手さ」ではありません。何度も出てきた、あの一点です ── 台本を誰が書くか。
| ストーリーテリング | ナラティブ | |
| 主役 | 企業・売り手 | お客様本人 |
| 語り手 | 売り手が語る | お客様が自分で語る |
| ペンを握るのは? | 売り手 | お客様 |
ストーリーテリングは、売り手が上手に物語を「語ってあげる」技術です。洗練された手法ですが、脚本を書いているのは売り手。ここまで見てきたとおりです。
ナラティブは、お客様が自分の言葉で「語る」状態。売り手にはコントロールできません。そして、コントロールできないからこそ、その言葉は本物になります。
では、どうやってお客様に台本を書くペンを渡すのか?
理屈はわかった。でも、どうやってお客様に語ってもらえばいいのか。「うちの物語を書いてください」と頼んで、書いてくれる人はいません。
そこで私がおすすめしているのが、「A4」1枚販促アンケートです。
これは、買ってくださったお客様に、たった5つの質問に答えてもらうだけの、A4用紙1枚のシンプルなアンケートです。ざっくり言うと、こんな質問をします。
- この商品を買う前、どんなことで悩んでいましたか
- 何がきっかけで、この商品を知りましたか
- 知ってすぐに買いましたか。買わなかったとしたら、なぜですか
- たくさんある中で、何が決め手になりましたか
- 実際に使ってみて、いかがでしたか
感の方ならお気づきでしょう。この5つの質問は、そのままお客様自身の物語 ── 悩んでいた「買う前」から、使ってみた「買った後」までの、一本の物語の流れになっています。
お客様は、アンケートに答えているつもりで、自分が主人公の物語を、自分の言葉で語ってくれるのです。売り手が想像で書いた脚本ではなく、本物のナラティブが、こうして手に入ります。
しかも、集まった声は、そのまま次の商談で使えます。「私たちの商品は優れています」と語る代わりに、「あなたと同じことで悩んでいたお客様が、これを使ってこう変わりました」と伝えられる。語る主語が、「自社自分」から「お客様」へ変わる。強い営業トークがあなたを手に出来ます。
そして、その声はどんなに上手いトークよりも人の心を動かします。なぜなら、買おうか迷っている人がいちばん信じるのは、売り手のうたい文句ではなく、「自分と同じ立場だった人の、実際の声」だからです。
AIの時代だからこそ、本物の声が効く
最後に、ひとつ。
今、AIに頼めば、感動的なストーリーもキャッチコピーも、いくらでも作れる時代になりました。上手な「物語」は、これからどんどん量産されていくことでしょう。
だからこそ、逆張りの考えで、本物のお客様の声「ナラティブ」は、複製できない希少な資産になっていきます。それは実在するお客様からしか生まれず、AIには決して作れないからです。
まず物語を語ることではなく、お客様の声に耳をすませてみませんか?
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